畳をどう処理すればいいか分からず不安な方へ、重くて汚れる作業や処分の手続きが面倒で悩むのは当然です。
この記事では畳解体の準備や道具、DIY手順、業者選び、処分方法、トラブル対処を実務的に解説します。
作業人数や所要時間、搬出ルート、廃棄区分と費用相場、アスベスト疑いへの対応など、押さえるべきチェック項目を順に紹介します。
初めてでも安全に進められるコツや見積もりで見落としがちな点も示すので、無駄な出費や事故を防げます。
まずは準備から読み進めて、具体的な手順と判断基準を確認してください。
畳解体の準備と基本

畳を安全に、効率よく解体するためには準備が重要です。
事前に道具や人手、搬出経路を整えておくと作業がはかどります。
必要な道具
解体作業で使う代表的な道具を揃えておくと安心です。
道具 | 主な用途 |
---|---|
カッターナイフ | 畳表の切断 |
畳針取り器 | 縫い糸の緩め作業 |
ノコギリ | 藁床の切断 |
ロープ | 運搬時の固定 |
ブルーシート | 作業場の養生 |
保護具
怪我やホコリ対策として保護具は必須です。
- 作業手袋
- 保護メガネ
- 防じんマスク
- 長袖作業服
- 安全靴
特に防じんマスクは中にホコリがたまりやすいため、必ず装着してください。
作業人数と役割
作業は最低でも二人一組を推奨します。
一人で持ち上げると腰を痛めやすく、搬出が難しくなるためです。
役割分担は運搬係と解体係に分けると効率が良いです。
解体係は切断や糸の処理を担当し、運搬係は取り出した畳を外へ運ぶ動線を確保してください。
所要時間の目安
畳一畳の解体は慣れた人であれば20分から40分が目安です。
初めての場合や搬出に階段を使う場合はさらに時間がかかることを見込んでください。
複数枚を一度に処理する場合は準備や養生に追加で時間を見積もると安心です。
搬出ルートの確保
搬出前に通路の幅や段差を必ず確認してください。
家具の移動や扉の開閉確認を事前に行うと当日の混乱を避けられます。
階段での搬出は特に危険が伴うため、ロープや滑り止めを用意することをおすすめします。
搬出時の養生として壁や床の保護を行ってください。
近隣への連絡
搬出作業や騒音が発生する場合は、事前に近隣へ一声かけておくとトラブルを防げます。
作業日時と概ねの所要時間を伝えておくと親切です。
マンションやアパートでは共用部分の利用ルールも確認しておいてください。
当日は大きな騒音を避ける配慮をしつつ、安全第一で作業を進めてください。
DIYでの解体手順

畳を自分で解体する際は、手順を整理して無理のない計画を立てることが重要です。
小さなコツを押さえれば、危険を減らしながら効率よく作業を進められます。
以下は実際の工程を段階ごとに解説した内容です。
畳表の切り離し
まずは畳の表面である畳表を剥がす準備をします。
畳の四隅を軽く持ち上げ、表面に沿ってカッターで目立たない端から切り込みを入れてください。
切る際は身を引いた姿勢を取り、刃を自分の方に向けないように注意します。
畳表をめくるときはゆっくりと引き、繊維に沿って力をかけると裂けにくくなります。
縫い糸の切断
畳表は縁と底で縫われていることが多いので、縫い糸を適切に切断します。
シームリッパーや細めのはさみを使い、糸だけを確実に狙って切ってください。
角や折り返し部分は糸が密集しているため、少しずつ切って畳表を外すと作業が安定します。
藁床の取り出し
藁床は重さと大きさがあるため、小分けしながら取り出すと運びやすくなります。
工程 | 注意点 |
---|---|
表面の固定を外す 紐を切る |
釘やホチキスを確認 工具で取り外す |
藁を引き出す 端から剥がす |
力を分散して作業 床を傷めない |
大きく割る 適当なサイズに分割 |
持ちやすい重さにする 搬出経路を考慮 |
藁床を引き出す際は床下に釘や金具が残っていないかを確認してください。
腐食やシロアリの痕跡がある場合は、無理に剥がさず専門業者に相談することをおすすめします。
断片の分割と梱包
取り出した畳材は廃棄しやすい大きさに切断してから梱包します。
- カッター
- ノコギリ
- 丈夫なビニール袋
- ガムテープ
- 手袋と保護メガネ
切断後は切り口に注意しながら袋詰めし、重量が出る部分は複数に分けて梱包してください。
最後に搬出ラベルや廃棄方法を書いたメモを貼っておくと、処分時の手間が減ります。
業者選びと見積もりのチェック項目

畳解体を業者に依頼する際は、見積もりの内容を細かく比較することが重要です。
費用だけで判断せず、作業範囲や追加費用、保険の有無を確認してください。
ここでは具体的に確認すべきポイントを分かりやすく解説します。
見積書の内訳
見積書は項目ごとに分かれているかをまず確認してください。
曖昧な「一式」だけの表記が多い場合は、詳細な内訳を求めることをおすすめします。
主な明細が書かれていれば、後で追加請求が発生した際の根拠確認が楽になります。
項目 | 例 |
---|---|
作業費 | 畳撤去作業 |
運搬費 | 現場から処分場まで |
処分費 | 一般廃棄または産廃処理 |
養生費 | 建物内保護作業 |
追加作業 | 床補修発見時の対応 |
作業範囲の明確化
見積もりに記載された作業範囲が現地の状況に合っているかを確認してください。
畳の撤去だけなのか、搬出から清掃まで含むのかで金額が変わります。
養生や床下点検、搬出経路の確保が含まれているかも重要なチェックポイントです。
作業開始前に立ち合いで範囲を確認し、口頭だけで終わらせないようにしましょう。
追加費用の有無
見積もりに含まれない可能性のある追加項目を事前に把握してください。
- 階段搬出料金
- 長距離運搬費用
- 床下補修費
- アスベスト疑い対応費
- 夜間作業料金
特に階段搬出や車両の進入制限がある現場では、追加費用が発生しやすいです。
追加費用の判断基準と上限を契約前に取り決めておくと安心です。
保険と保証の確認
作業中の破損や作業員の事故に備えた保険加入の有無を必ず確認してください。
賠償責任保険や労災といった基本的な保険が整っている業者を選ぶべきです。
また、作業後の保証内容や期間についても確認し、書面で残してもらいましょう。
廃棄処理の適正処理証明や領収書を発行してくれるかも重要なポイントです。
施工実績
過去の施工実績や事例を確認することで、技術力や対応力を判断できます。
ウェブの施工写真やお客様の声、レビューをチェックしてください。
可能であれば類似の現場経験が豊富な業者を優先すると安心です。
地域での評判や許認可の有無も最終判断の材料にしてください。
処分方法と費用相場

畳の処分方法は複数あり、費用や手続きの手間が大きく異なります。
自治体ルールや畳の素材状態によって適した処分方法が変わりますので、選び方のポイントをわかりやすく解説します。
一般廃棄物回収
一般廃棄物回収は家庭ごみとして自治体が回収する方式で、手続きが簡単な点が利点です。
費用は自治体によって差がありますが、1枚あたり300円から1,000円程度が目安になります。
回収時には所定のステッカー購入や収集日の予約が必要な場合が多く、搬出場所までの運搬は自己負担となるケースが一般的です。
湿っている畳や大きく破損した畳は扱いが変わることがあるため、事前に自治体に確認することをおすすめします。
産業廃棄物処理
事業者が出す畳は産業廃棄物に該当することがあり、産廃処理業者による処理が必要です。
費用は一般廃棄物より高めになり、1枚あたり1,000円から5,000円程度が目安となります。
産廃処理にはマニフェストなど書類管理が必要で、信頼できる許可業者を選ぶことが重要です。
畳店での引取
畳店に引き取ってもらう方法は、交換作業と同時に依頼できるため手間が少ない利点があります。
引取費用は店によって差が大きく、処分のみで1枚あたり2,000円から5,000円程度、張替えや新調を含めると見積り制になることが多いです。
古畳の状態によっては再利用や素材別に処理してくれる店もあり、廃棄コストを抑えられる場合があります。
リサイクル利用
畳は素材によってはリサイクルの用途が見つかることがあり、環境配慮の観点から注目されています。
- 堆肥の原料
- 家庭菜園のマルチ材
- 動物用敷料の原料
- 資材の再利用(産業向け)
ただし、除草剤や防虫処理がされた畳は再利用に適さないため、事前の確認が必要です。
リサイクルを行う団体や業者は限られるため、引取可否や引取条件を問い合わせてから手配すると安心です。
焼却処分
焼却処分は可燃ごみとして扱われるケースと、専用施設で処理されるケースがあります。
自治体の焼却施設や委託業者を利用する場合、費用は1枚あたり数百円から数千円まで幅があります。
焼却時には臭いや排ガス対策が必要であり、家庭での焼却は法律で制限されているため避けてください。
粗大ごみ収集
粗大ごみ収集は自治体のサービスを利用した回収方法で、段取りが比較的簡単です。
処理方法 | 費用目安 |
---|---|
自治体の粗大ごみ | 1枚300-1000円 |
民間の回収業者 | 1枚2000-5000円 |
畳店引取 | 見積り制 |
自治体の収集は申込みと手数料シールの貼付が必要で、指定の回収日に道路に出すルールが多いです。
階段搬出がある場合は追加料金が発生することがあるため、事前に確認されると安心です。
解体時の安全対策とトラブル対処

畳を解体する際の最大の優先事項は、安全の確保と被害の最小化です。
ここでは現場で起きやすい事故と、その対処法を具体的に説明いたします。
切創防止
鋭利な工具や釘による切り傷を防ぐため、作業前に使用する工具の点検を行ってください。
手袋は厚手の革手袋を基本とし、指先の感覚が必要な作業時にはケブラー製のものに替えると安全性が高まります。
カッターやノコギリを使うときは刃の向きと力のかけ方に注意し、必ず体から離して切断する習慣をつけてください。
切創が発生した場合の応急処置用品を作業エリアに準備し、出血が止まらないときは速やかに医療機関へ連絡してください。
被害拡大防止
作業中に畳の中や床下から出るほこりや藁くずは、周囲への飛散を防ぐことが重要です。
窓や建具をビニールで覆い、換気扇は使用を控えるか、逆流防止の措置を取りましょう。
- 作業区域の養生シート敷設
- 扉と窓の封鎖と換気経路の制御
- こまめな掃除機による吸引作業
- 濡れタオルでの表面拭き取り
- 廃材の密閉容器への保管
軽微な汚染であれば濡れ拭きと吸引で対処できますが、広範囲にわたる粉塵が見られる場合は専門業者に相談してください。
アスベスト疑いへの対応
畳の素材や下地に古い建材が使われている場合、アスベスト混入の疑いを常に念頭に置いてください。
疑わしい粉じんや繊維状の付着物を見つけたら、素手で触れたり掃き出したりしないようにしてください。
状況 | 対応先 |
---|---|
粉じんが舞っている | 専門の調査機関 |
古い建材が露出している | アスベスト除去業者 |
旧家屋で黒ずんだ断熱材 | 保健所相談窓口 |
調査と除去は専門資格を持つ業者に依頼するのが最も安全で、自己判断で作業を進めることはお勧めできません。
床下腐食の確認
畳を外した後は、床板のたわみや根太の腐食を必ず目視で確認してください。
踏み抜きや二次的な構造被害を防ぐために、弱い箇所があればロープや板で仮の支持を行ってください。
木材の色変化や黒ずみがある場合は、湿気による腐食の可能性がありますので、湿度計や簡易水分計で測定してみましょう。
腐食が広範囲に及んでいる場合や構造的な不安があると判断したら、躯体補修が可能な大工や建築士に点検を依頼してください。
近隣苦情対応
騒音や粉じん、搬出車両による通行妨害などで近隣から苦情が出ることがありますので、事前連絡が重要です。
作業日時の調整や騒音対策を事前に伝え、連絡先を明示しておくとトラブルを未然に防げます。
苦情が寄せられた際は丁寧に状況を説明し、可能な限り速やかに改善策を講じる姿勢を示してください。
記録として作業前後の写真や作業報告を保存しておくと、後になって起きる争いをスムーズに解決しやすくなります。
作業後の確認と次の手続き

作業終了後はまず現場を一巡して、清掃状況と残材の有無を確認してください。
撤去前後の写真を撮影しておくと、トラブル時の証拠や保険請求に役立ちます。
見積書や領収書を照合し、追加費用や未払いがないか丁寧に確認してください。
自治体のルールに合わせて粗大ごみ出しや産業廃棄物の処理手続きを行ってください。
床の傷や床下の状態も点検し、補修が必要な場合は早めに施工業者へ相談しましょう。
近隣への最終報告と、作業中に発生した騒音や迷惑についての対応を済ませてください。
万が一のトラブルは、業者の保証内容や加入保険で対応可能か確認してから進めてください。
最後に、新しい畳や床材の手配、今後のリフォーム予定を整理しておくと安心です。