畳のシミを見つけたとき、慌てて擦ったり方法がわからず不安になる方は多いはずです。
放置や誤った処置で色落ちやカビを招くことがあり、畳表の素材や洗剤の濃度を間違えると状況が悪化します。
この記事ではオキシクリーンを例に、準備物や色落ちテスト、希釈のポイントから塗布・拭き取りまで、安全かつ効果的な手順を実践的に解説します。
シミの種類別対処法や避けるべきNG行為も含めて順を追って説明するので、続きで具体的な手順を確認して失敗を防ぎましょう。
オキシクリーン畳シミ抜きの実践手順

オキシクリーンを使った畳のシミ抜きは、正しい手順で行えば家庭でも効果が期待できます。
ただし、畳表の種類やシミの性質によって注意点が変わるため、順を追って実施することが大切です。
準備物
事前に必要な道具を揃えておくと作業がスムーズになります。
用意するもの | 用途 |
---|---|
オキシクリーン | 漂白除菌剤 |
計量スプーン | 希釈の計量 |
霧吹き | 均一な塗布 |
吸水タオル | 染み抜き後の拭き取り |
軟らかめのブラシ | 表面のほぐし |
バケツ | 希釈溶液の準備 |
ゴム手袋 | 手肌の保護 |
テーブル内の道具は用途ごとに分けてありますので、準備は前日に済ませると安心です。
畳表の素材確認
まずは畳表の種類を確認してください。
い草表は水分や漂白剤に弱い部分があるため慎重に扱う必要があります。
和紙表や化学表の畳は比較的耐久性が高いですが、製品によっては色落ちしやすいものもあります。
裏面や畳縁のラベルを確認し、心配な場合はメーカーに問い合わせると確実です。
色落ちテスト
目立たない場所で必ず色落ちテストを行ってください。
小さな端の部分に希釈した溶液を少量塗布し、10分ほど待ちます。
変色や表面の変化がなければ作業を進めて問題ありません。
もし色落ちや繊維の変化が見られたら、その畳には別の方法を検討してください。
希釈濃度
メーカーの指示を最優先にしてください。
目安としては、水1リットルに対してスプーン半分から1杯程度の薄めの希釈から始めると安全です。
頑固なシミには濃度を少し強めても良いですが、徐々に強くする方法をおすすめします。
濃度を上げると繊維や色合いに影響が出る可能性があるため、慎重に調整してください。
事前吸水処理
シミ部分はまず余分な液体を吸い取ることが重要です。
ティッシュや吸水性の高いタオルで上から軽く押し当て、奥へ広げないようにしてください。
こすらずに押し当てるだけで、余分な汚れや水分を減らせます。
塗布方法
塗布はムラなく行うことが肝心です。
霧吹きで薄く均一に塗ると、過剰な浸透を防げます。
- 端から中央へ
- 薄く数回に分ける
- 強く擦らない
- 小さな範囲で試す
小さな範囲で様子を見ながら少しずつ塗布していくと失敗が少なくなります。
必要に応じて軟らかいブラシで表面の繊維をほぐすと、オキシ成分が浸透しやすくなります。
放置時間と環境
放置時間はシミの種類や濃度により異なりますが、基本は5分から30分程度です。
短時間からチェックし、必要なら再度塗布して時間を延ばしてください。
換気を良くし、直射日光や高温多湿を避けることで薬剤の効果を安定させられます。
密閉したまま長時間放置するのは避けてください。
拭き取りと乾燥
放置後は吸水タオルで優しく押し当てながら拭き取ってください。
残留薬剤は水で軽く湿らせた布で拭き取ると安全です。
その後は風通しの良い場所で自然乾燥させるか、扇風機で乾かすとカビ予防になります。
完全に乾くまで家具を戻さないように注意してください。
シミの種類別対処法

シミの種類によって適切な処置は異なります。
ここでは代表的なシミ別に、オキシクリーンを使った具体的な対処法を解説します。
飲み物
飲み物のシミは時間が経つほど落ちにくくなります。
まずはこぼしてすぐに吸い取ることが最優先です。
- 余分な液体を吸い取る
- 希釈液を少量塗布
- やさしく叩く
- 吸水布で吸い上げる
希釈は目安として水1リットルに対してオキシクリーン小さじ1程度を推奨します。
使用前に目立たない場所で色落ちテストを行ってください。
食品
油分を含む食品は洗浄力が必要で、放置すると繊維に定着します。
まず固形のカスを取り除き、余分な油はキッチンペーパーで吸い取ります。
その後、希釈したオキシクリーンを塗布し、時間をおいてから吸い取ると効果的です。
強くこすらず、繊維を傷めないように注意してください。
血液
血液はタンパク質汚れのため、熱いお湯で処理すると凝固して落ちにくくなります。
まずは冷たい水でできるだけ洗い流すか、希釈液でやさしく処置してください。
オキシ系漂白剤は血液に有効ですが、必ず色落ちテストを行ってから使用してください。
落ちにくい場合は部分的に繰り返し処理するか、プロに相談することをおすすめします。
ペット尿
ペットの尿は臭いと色素が繊維に染み込みやすく、早めの対応が重要です。
まずはしっかり吸水し、次に希釈液を塗布して浸透させます。
以下は状況別の対処目安です。
状況 | 対応 |
---|---|
新しいシミ | 即座の吸水と希釈液塗布 |
時間が経過したシミ | 部分的な繰り返し処理 |
臭いが強い場合 | 乾燥と消臭処理 |
臭いが残る場合は重曹や市販の酵素系消臭剤を併用すると効果的です。
ただし塩素系製品とは混合しないでください。
カビ
カビは見た目以上に根深く広がっていることがあります。
表面のカビは希釈したオキシクリーンで除去できる場合がありますが、根が深い場合はプロの処置が必要です。
処理後は十分に乾燥させ、再発防止のために換気と除湿を行ってください。
カビ臭が気になる場合は専門のカビ取り剤や業者に相談することをおすすめします。
避けるべきNG行為

オキシクリーンで畳のシミ抜きを行う際にやってはいけない行為を、理由と代替策を交えてわかりやすく解説します。
塩素系漂白剤の併用
オキシクリーンは酸素系の漂白成分を含むため、塩素系漂白剤と混ぜると予期せぬ化学反応が起きる恐れがあります。
有害なガスが発生するリスクや、畳表の色素が急激に変色してしまう可能性があるため、絶対に併用しないでください。
もし落ちにくいシミがある場合は、塩素系ではなくオキシクリーン単独での処理を試し、必要なら専門業者に相談することをおすすめします。
強いこすり洗い
力任せにこすると、畳表の表面が毛羽立ち、繊維が壊れてしまいます。
また、こすることでシミが広がったり、内部に入り込んでしまうこともあります。
優しく扱うことが基本で、繊維に負担をかけない方法を選びましょう。
- 摩耗の進行
- 繊維の切断
- シミの拡大
- 色むらの発生
代わりに、スポンジで軽く押し当てるように吸い取るか、柔らかいブラシで毛の流れに沿って擦ると安全です。
大量の水の使用
畳は吸湿性が高く、表面に大量の水をかけると内部までしみ込んでしまいます。
内部の芯材が湿ると、乾きにくくなりカビや変形の原因となります。
下表は大量の水を使った際に起きやすい問題を簡潔にまとめたものです。
問題 | 影響 |
---|---|
芯まで濡れる | 乾きにくい |
過度の水分残留 | カビ発生 |
畳の反り | 変形 |
接着剤の劣化 | 剥がれ |
シミ抜きはできるだけ少量の希釈液で局所的に処理し、余分な水分はすぐに拭き取ってください。
密閉しての放置
処置後にシートやビニールで密閉すると、湿気がこもり菌が繁殖しやすくなります。
また、密閉環境ではオキシクリーンの働きが偏り、期待した酸化反応が起きにくい場合があります。
処理後は風通しを確保し、自然乾燥を促すことが重要です。
なお、直射日光で急速に乾かすのも色あせや収縮を招くため、陰干しか換気をしながらの乾燥を心がけてください。
効果を高める補助策

オキシクリーンで畳のシミ抜きを行う際には、基本の手順に加えていくつかの補助策を組み合わせると効果が上がります。
ここでは安全性を保ちながら効率的に作業するための実践的なコツを紹介します。
お湯の利用
オキシクリーンを溶かす際は、ぬるま湯から人肌程度の温度を使うと洗浄力が向上します。
熱すぎるお湯は畳の表面を傷めたり、色落ちのリスクを高めるため、50度を超えないようにしてください。
事前に小さな目立たない箇所で試し、変色や変形がないか確認することをおすすめします。
お湯を使うと汚れが柔らかくなり、反応時間が短縮されるため、作業効率が良くなります。
吸水布の使い分け
水分の移動をコントロールするために、用途別に布を使い分けると仕上がりが安定します。
- マイクロファイバークロス 吸水と拭き取り用
- コットンガーゼ 軽い押さえ拭き用
- パイルタオル 初期の大量吸水用
- 古いバスタオル 広範囲の水分吸収用
汚れを広げないため、濡れた布はこまめに交換し、乾いた布で最終拭き上げを行ってください。
色移りや繊維の毛羽立ちを避けるため、新しい布や色落ちの心配がない布を使うと安心です。
適切なブラシ選び
畳の目に沿って優しく作業するために、ブラシの選択も重要です。
ブラシの種類 | 用途 |
---|---|
馬毛ブラシ | 表面の汚れ除去 |
ナイロンソフトブラシ | 浸透した汚れを浮かせる |
歯ブラシ 小 | 縁や目地の細部清掃 |
毛の硬さはソフト寄りを選び、力をかけずに畳の目に沿って掃くように動かしてください。
円を描くような強い擦り方や逆目に対しての強い圧力は、畳表を傷める原因になりますので避けてください。
換気と保護具の準備
オキシクリーンは酸素系漂白剤のため、換気を十分に行うことで作業環境を安全に保てます。
作業前には窓を開け、扇風機などで空気の流れを作ってください。
手荒れを防ぐためにゴム手袋を着用し、目への飛沫を防ぐために保護メガネの使用をおすすめします。
マスクを着けることで粉末の吸入や匂いの刺激を軽減できますので、用意しておくと安心です。
使用後のクロスやブラシは屋外でよく乾燥させ、洗濯や廃棄の際も周囲に汚れを広げないよう取り扱ってください。
シミが落ちない場合の次の手段

家庭でのオキシクリーン処理で改善が見られないときは、次の選択肢を冷静に比較することが大切です。
安全性や費用、仕上がりの確実性を軸に検討してください。
ここでは代表的な手段ごとにメリットと注意点を解説します。
プロの畳クリーニング
プロに依頼すると専用の薬剤や高性能機材で深いシミにも対応してもらえます。
自力で落とせなかったシミは、職人の技術で改善する場合が多いです。
依頼前には見積りと作業内容の確認を必ず行ってください。
サービス | 目安料金 | 特徴 |
---|---|---|
出張クリーニング | 5000円〜15000円 | 現地作業 機材を使用 |
持ち込み洗浄 | 3000円〜10000円 | 集中処理 高度な薬剤対応 |
特殊染み抜き | 別途見積り | 難易度の高いシミに対応 |
部分補修
シミや傷が一部に限られるなら、部分補修で見た目を改善できることがあります。
費用は補修範囲と素材によって変わりますので、まずは専門業者に相談してください。
- い草の差し替え
- 部分的な表面張替え
- 色補正と補色処理
補修は費用対効果が高い場合が多く、短時間で元のような見た目に近づけられます。
表替え
表替えとは畳表を新しいい草に替える作業です。
シミが深く繊維まで沈着している場合や、畳自体の劣化が進んでいるときは最も確実な方法になります。
費用や日数は枚数と素材で変わりますので、事前に見積りを取りましょう。
専門の染み抜き店
染み抜き専門店では、素材ごとの薬剤選定や色合わせを行い、目立たなくする処理が期待できます。
ペットの尿やインクなど、家庭で落としにくいシミにも対応できる場合がありますので、相談してみてください。
保証や再処理の有無を確認し、納得したうえで依頼することをおすすめします。
実施前の最終確認ポイント

作業前に、必ず以下を確認してください。
畳表の素材と変色の有無を最終チェックし、異常があれば無理に処置しないでください。
希釈濃度や色落ちテストの結果を見直し、手順を頭に入れておきましょう。
換気の確保と保護具の準備を忘れずに行ってください。
- 畳素材(い草、和紙、ポリ混合など)の確認
- 事前の色落ちテスト実施
- オキシクリーンの希釈濃度の明記
- 周囲の養生と換気経路の確保
- 手袋、マスク、眼鏡などの保護具
小さな範囲で再度試し、問題なければ本処理に進んでください。
不安がある場合は、専門業者への相談をおすすめします。